ウレタン防水工事〜工法の種類、劣化チェックポイント、メリットを解説〜

2021年04月30日

目次

ウレタン防水とは

ウレタンを塗装樹脂として使用し、その樹脂を防水層として塗布する防水工事のことを「ウレタン防水」と呼んでいます。ウレタンには、柔らかく弾力性があり摩耗性にも優れているという特徴があります。その特徴を生かして、スポンジをはじめ、接着剤、自動車のタイヤなど、身近な製品にも数多く使われています。

防水工事には、5つの種類(ウレタン防水・FRP防水・シート防水・シーリング防水・アスファルト防水)が存在しますが、そのうちの1つとなっています。
ウレタン防水は塗布するタイプの工法ですので、複雑な形状でも防水塗装ができますし、他の防水工事と比べてメンテナンスが比較的安価にできるというメリットを持ちます。

ウレタン防水工事をするべきチェックポイント

屋上やバルコニー、ベランダなどが以下のような状態になっていると、その場所が劣化している状態になっています。早急に、ウレタン工事などの防水工をしたほうが良いでしょう。

  • 様々な箇所にひび割れがある
  • 塗装が色褪せしていたり剥がれたていたりする
  • 塗装の膜が浮いていたり、膨れていたりする箇所がある
  • 排水溝が錆びていたり、雑草が生えていたりしている
  • 雨が降ったときに雨漏りがしていた
  • 雨が降ったあとに、あちこちに水が溜まりやすい

ウレタン防水、どんな工法がある?

ウレタン防水には、通気緩衝工法と密着工法という2つの工法があります。どちらの工法が良いのかは建物の状態によって異なりますし、工法によって耐用年数も異なってきます。

通気緩衝工法

通気緩衡シートを貼り付けて、その上からウレタン防水材を塗布する工法が通気緩衝工法です。屋上やバルコニー、ベランダなどの年数が経過していくと、防水層の下地に水分が染みこみ、雨漏りが発生することがあります。また、雨が降ったあとに気温が上昇すると、その水分が湿気となって防水層が膨らむこともあります。

このような現象が発生しないように、通気緩衝工法では下地の裏側に溝があいている通気緩衡シートを付けています。シートを貼り付けていることで、下地に含まれた水分はシートの溝を通り道にして外部に逃がせるようになっています。そのため、雨漏りや防水層の膨れを防げるようになります。

一回の通気緩衝工法で持つ期間は約12年から約15年。工事費用の相場は1平方メートル単価で約5,500円から約6,500円となっています。

メリット

通気緩衝工法の最大のメリットは長持ちすることです。
通気緩衝工法で防水工事を行えば、15年程度は防水効果を維持することができます。しっかりとメンテナンスを行っていけば、ほぼ半永久的に持たせることも可能です。その結果としてランニングコストも下がります。

長持ち以外にも、通気緩衝工法には以下のようなメリットがあります。

  • 防水工事をした後のメンテナンス工事を少なくできる
  • その結果、防水工事をした後のメンテナンス費用を安く済ませられる
  • 外部に水分や湿気を逃す通気層があるので、雨漏りしている建物にも効果がある
  • 膨れが出にくいので、密着工法よりも見た目が良いまま長持ちする

デメリット

通気緩衝工法は、密着工法と比較して初期費用が約1.5倍から約1.7倍のコストがかかるというデメリットもあります。ただ、密着工法と比べてメンテナンス工事費用を3分の1程度で済ますことができるので、長期的な観点で見ていけばコストを安く済ますことができます。

密着工法

ウレタン防水材を屋上やバルコニー、ベランダなど下地に直接、塗布してから、メッシュのような補強布を貼り付けます。そして、その上からウレタン防水材をさらに塗り重ねていき、上塗り材で仕上げていくのが密着工法です。
下地を十分に乾燥させないといけませんので、塗装を短時間で済ますことができるベランダなどの狭い場所の防水工事に向いているでしょう。

一回の密着工法で持つ期間は約5年から約10年。5年~8年ごとのメンテナンスがおすすめです。工事費用の相場は、1平方メートル単価で約4,000円から約5,500円となっています。

メリット

工期が比較的早く(晴れている日であれば2日~3日程度)済ませられることで、工事費用も安く済ませることができます。また、通気緩衝工法と比べて初期費用を安く抑えることができます。そのため、「予算を抑えながら短期間でできるだけ早く防水工事をしてしまいたい」という人にとってはメリットがある工法だといえます。

デメリット

下地の影響を受けやすい防水工事の方法です。そのため、下地処理がきちんと行われていないと、防水層のひび割れや膨れなどが発生する可能性があります。
また、下地と防水層を密着させて塗布するため、雨水や湿気を吸い取ったり逃がしたりする機能を持っていません。そのため、下地に含まれた雨水や湿気は膨れとなり雨漏りが発生する原因となってしまいます。

また、耐久性が強くない防水工事のため、10年以内に一度はメンテナンス工事をする必要があります。
そのほか、密着工法は通気緩衝工法よりも巻単位できる防水工事のため、技術が低い業者が工事を請け負う可能性もあります。そのため、業者選びは慎重にしないと失敗する可能性もあります。

ウレタン防水工事の施工手順

おすすめする防水工事の工法「通気緩衝工法」を使用した、専門業者によるウレタン防水工事の4段階の施工手順を紹介します。

仮防水工事を行う
既にされている防水を剥がします。そのとき、下地がむき出しになっている状態になっており、工事中に雨が降ってしまうと即雨漏りとなることになります。その対策として、本防水工事を行う前に、カチオン樹脂による仮防水工事を行います。防水工事の専門業者でないと、この仮防水工事は省かれてしまう場合もあります。

通気緩衝シートを張る
シート全体で水を吸っていくという高機能性を持つ、AGC旭硝子製の「サラセーヌ」と呼ばれる通気緩衝シートを下地に張っていきます。
業者によっては、アスファルト性でできた通気シートを使用することもあります。防水工事の専門業者であれば、建物や状態によって、同じ通気緩衝工法でも、使うメーカーを変えた提案を行います。

ウレタン剤をまく
ウレタン防水の2層目であるウレタン剤をまいていきます。この作業は、天候や気温などによって作業速度を変えていく必要もあります。
たとえば晴れている日では、ウレタン剤が硬化していく速度が早くなるため、素早く防水加工をしていかなければなりません。

手すりの根元を補強する
屋上やバルコニー、ベランダなどの手すりがガタガタになっている場合には、手すりの根元に腐食を防止するためのクラウド剤を注入します。クラウド剤を注入すれば腐食防止だけでなく手すりが強化されるので、安全対策にもなってきます。

防水工事の専門業者であれば、防水工事そのものだけでなく屋上やバルコニー、ベランダなどの安全対策まで地注意を払ってくれます。

このような施工手順を省略したり、丁寧に行わなかったりする防水工事業者も存在します。防水工を行ったあとに後悔しないためにも、きめ細かい仕上がりが期待できる防水工事の専門業者に依頼することをおすすめします。

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