2021年03月14日
目次
目的から異なる外壁塗装と防水工事
外壁塗装と防水工事。施工する箇所や内容が似ていて同一の工事と思われていることも多いのですが、実は明確な違いがあります。外壁塗装を専門にしている業者もあれば、防水工事のみをしている業者もあるなど、依頼すべき業者も異なります。
外壁塗装と防水工事の両方を行なっている業者もあるのですが、使っている物や工程が異なるので両立が難しく、工事が中途半端になりがちです。
今回は外壁塗装と防水工事の違いについて詳しくご説明します。目的に合わせてどちらを行うか決め、専門の業者を選びましょう。
外壁塗装はどのような工事?~工事方法と塗料を紹介~
外壁塗装とはその名の通り外壁に塗料を塗り直すことで、建物の美観を保つ、風雨から建物を守るといった目的があります。通常、建物の外壁の塗装は5年~10年で劣化し、色あせて見た目が悪くなり、外壁を守る機能も低下してしまいます。新しく塗料を塗り直せば、また新築のような美しい外観が蘇り、建物の寿命も伸びます。
使う塗料はアクリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料などさまざまな種類があり、性能や予算に応じて選べます。特にシリコンやフッ素などの高品質な塗料を使えば、塗装の耐用年数も長くなるので、美観が長持ちして建物の長寿命化にもつながります。
防水工事はどのような工事?~工事方法を紹介~
防水工事は水が建物の内部に侵入するのを防ぐための工事です。建物に水が入り込むと木造の場合は柱や梁などが腐食してしまう、コンクリート造の建物なら鉄筋や鉄骨が錆びてしまうことで、建物の寿命が短くなってしまいます。
屋根や外壁のひび割れの補修を行なう、防水シートを施工する、外壁をコーティングするなど、必要に応じて工事を行い、建物の防水性能を高めます。外壁にコーティング剤(防水効果を維持する目的)を塗布する作業がある、防水工事業者がついでに外壁塗装を行なっているという理由で、一般の方からは外壁塗装と防水工事を混同されることもよくあります。
施工内容 | 目的 | 主に使用するもの |
---|---|---|
外壁塗装 | 建物の美観を保つ、風雨から建物を守る | 塗料など |
防水工事 | 水が建物の内部に侵入するのを防ぐ | 防水シート、コーティング剤 |
工事にかかる費用はどれくらい?~目的別に相場をご紹介~
外壁塗装と防水工事、目的をしっかりと決めた上で業者を選びましょう。どちらも工事のクオリティやスケジュール、仲介マージンや外注費など、さまざまな要因で工事費用が決まりますが、ある程度の相場はあります。まずは費用感を掴んだ上で業者を検討してみましょう。
外壁塗装、防水工事それぞれの料金が決まる要因と、工事料金の相場について見ていきましょう。
外壁塗装の費用~費用が決まる2つの要素とは~
外壁塗装の工事費用の内訳は主に塗料代、足場代、施工費用(人件費)、諸経費(シート囲い、ごみ処理など)、業者の利益などで、面積(坪数と塗料を塗る面積)と使用する塗料によって費用が決まります。塗料や人件費などが半分以上を占めています。
一般的な2階建て(塗り面積200㎡)で80~150万円が大まかな相場です。もちろん、塗料のグレードや施工の質によってこの相場よりも若干高くなったり、安くなったりする場合もあります。
業者を選ぶ際には費用の内訳まで詳しく書かれた見積もりを出してくれるかどうかがポイントです。相場からあまりにもかけ離れている、見積もりの金額について不明点があるのであれば、遠慮なく担当者に尋ねてみましょう。
防水工事の費用~費用が決まる2つの要素とは~
防水工事の費用に関しても基本的に面積と行う工事の内容で価格が決まります。防水施工費用、足場代、施工費用(人件費)、諸経費(シート囲い、ごみ処理など)、業者の利益などが含まれていて、防水施工費用が半分以上を占めています。
施工内容によって大きく費用は異なりますが、施工面積120㎡で90万円~140万円程度が相場です。
やはり防水工事に関しても相場との乖離が大きいのは何らかの理由があります。見積もりの明細をよく確認し、価格に違和感を覚えたら、「なぜ高い(安い)のか?」理由を担当者に尋ねてみましょう。
外壁塗装にせよ、防水工事にせよ、材料や施工の質が高くて料金設定も若干高めになっている、あるいは企業努力をして若干安く抑えられているのであれば問題ありません。しかし、相場より極端に高い、あるいは低い場合は何らかのカラクリがある可能性も考えられるので注意が必要です。
耐用年数はどれくらい?~工事の種類ごとにご紹介~
料金だけでなく塗装あるいは防水効果の耐用年数についても注目してみましょう。仮に安く施工ができたとしても、すぐに劣化してしまえば再工事が必要となり、トータルでみたらかえって出費がかさんでしまったというケースも少なくありません。
やはり耐久性が高い塗料・施工のほうが値段は高くなります。しかし、「コストパフォーマンス」で考えると、必ずしも割高とは言えません。
外壁塗装・防水工事の塗料・施工の種類別に耐久年数と料金の相場、コストパフォーマンスを比較してみましょう。
外壁塗装の耐用年数~コスパがもっともいい塗装はどれ?~
前述のとおり、外壁塗装の料金のうち半分は塗料代や施工費用です。特に使う塗料の種類によって価格が大きく異なります。たとえば、一番耐用年数が低いアクリル塗料は1,000~1,800円/㎡。一方、一番耐久性が高いフッ素塗料は3,000~5,000円/㎡。およそ3倍もの開きがあります。たとえば一番安い業者で200㎡塗装したとすると、アクリルは20万円、フッ素は60万円で、差が歴然です。ただ金額だけ見たら、誰もがアクリル塗料を選びたいと思うでしょう。
しかし、コストパフォーマンスで考えてみると、アクリル塗料は125~600円/年間・㎡、フッ素塗料は150~417円/年間・㎡です。確かにアクリルが8年もてばコスパは良いのですが、仮に3年くらいで劣化してしまったらコスパはかなり悪くなります。しかも、外壁塗装の回数が増えればそれだけ施工費用や人件費、諸経費などもかさみます。
耐久性が高い塗料は質が良いのでその分高価にはなりますが、長い目で見るとむしろ安価な塗料よりもコスパが高いと言えます。
塗装の種類 | 耐用年数 | 1㎡当たりの単価 (塗装単価) |
1年間当たりに 換算した塗装単価 (コスパ) |
---|---|---|---|
アクリル塗料 | 3~8年 | 1,000~1,800円/㎡ | 125~600円/年間・㎡ |
ウレタン塗料 | 5~10年 | 1,500~2,500円/㎡ | 150~500円/年間・㎡ |
シリコン塗料 | 7~15年 | 1,800円~3,500円/㎡ | 120~500円/年間・㎡ |
フッ素塗料 | 12~20年 | 3,000~5,000円/㎡ | 150~417円/年間・㎡ |
防水工事の耐用年数~コスパで見る防水工事~
防水工事に関してはウレタン防水やシート防水といった施工内容によって価格が決まります。こちらは外壁塗装よりも価格差が緩やかで、耐用年数にも差はありません。ただし、コスパには明確な違いが現れています。
一番安価なウレタン防水のコスパは266~850円/年間・㎡で、一番高価で耐用年数が高いアスファルト防水は275~667円/年間・㎡です。ウレタン防水が耐用年数のマックス15年もてば費用対効果はいいのですが、10年しかもたなかった場合はアスファルト防水よりもコスパが悪くなってしまいます。
特に防水工事の場合は施工内容が変わっても価格はそれほど違いがないので、今後のことを考えると長持ちするものを選んだほうがいいかもしれません。
「安物買いの銭失い」という言葉がありますが、あまり長持ちしない塗料あるいは工法を、技術力が低い業者が施工すると、かえってトータルでの支出が増える可能性があります。表面上の値段だけでなく、耐久性能も考慮してコスパで比較しましょう。
施工の種類 | 耐用年数 | 1㎡当たりの単価(施工単価) | 1年間当たりに 換算した施工単価 (コスパ) |
---|---|---|---|
ウレタン防水 | 10~15年 | 4,000~8,500円/㎡ | 266~850円/年間・㎡ |
シート防水 | 10~15年 | 4,000~7,500円/㎡ | 266~750円/年間・㎡ |
FRP防水 | 10~15年 | 4,000~7,500円/㎡ | 266~750円/年間・㎡ |
アスファルト防水 | 12~20年 | 5,500~8,000円/㎡ | 275~667円/年間・㎡ |
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