2021年07月26日
目次
シーリング防水とは
外壁の継ぎ目には、雨水の侵入などから建物を守り気密性を保持するために用いられるシーリング材が使われています。このシーリング材を使用した防水工事のことをシーリング防水と呼んでいます。
シーリング材には防水性や機密性を高める以外にも、その収縮性により地震が発生した際の揺れの衝撃などを吸収する役割を持っています。
シーリング材はペースト状の材料で出来ており、ペースト状の材料を外壁ボードのつなぎ目や、外壁とサッシの隙間をシーリング材で埋めることでシーリング防水がなされます。
建物にシーリング防水工事を行うことで以下のようなメリットが生じます。
- サイディング壁は、サイディングボードを外壁下地に張り付けていきます。
ただ、サイディングボードは堅く薄いためにひび割れや破損が生じることがあります。
そのため、サイディングボードの隙間(目地)にシーリング材を充填することでひび割れを防ぐことができます。 - シーリング防水工事で建物の定期的なメンテナンスを行うことによって、外壁からの雨漏りや外壁のひび割れなどをなくすことができます。
建物の劣化を加速させる外壁の雨漏りやひび割れをなくすことで、結果的に建物の寿命を延ばすことになります。 - 外壁メンテナンスと同時にシーリング防水を行うことで、足場仮設の費用が一度で済むようになりコスト削減につながります。
シーリング防水工事をするべきタイミングは?
建物の外壁に次のような症状が発生したときには、シーリング防水工事の検討を行うタイミングだと言えます。
こんな症状が出たら注意!
- 外壁のシーリング材の剥がれが気になる
- 外壁のシーリング材にひび割れや亀裂が生じはじめた
- 外壁のシーリング材が痩せてしまい、サイディング壁の隙間から下地が見えている
目安は5年~10年
シーリング材の種類によっても異なってきますが、シーリング防水の耐用年数は5年前後から10年前後です。
建物の築年数が5年を超えてきたら定期的にシーリング材のチェックを行い、劣化を見つけ次第、シーリング防水工事の依頼を検討するようにしましょう。
シーリング防水工事の施工手順
シーリング防水工事には、打ち替え工事と打ち増し工事という2タイプの工事方法があります。
シーリング材の劣化の状態によってどちらの工事を選ぶか決めましょう。
工事の種類
それぞれの工事の概要を記載します。
打ち替え工事
既存のシーリングをすべて除去してから、新しいシーリング材を塗布するシーリング防水工事の方法です。
新たなシーリング材で隙間をしっかりと埋めていくので、防水性や機密性、収縮性を新築時のように上げることができます。
ただし、工事の手間や材料費が余計にかかることで、打ち増し工事よりも単価が高くなります。
打ち増し工事
既存シーリング材の上から、新しいシーリング材を塗り重ねていくシーリング防水工事です。
既存シーリング材が硬化やひび割れなどの劣化が進み切っていない場合に行われます。
この工事方法は、既存シーリング材を撤去する作業がないため、打ち替え工事よりも単価を安く済ませられることができます。
ただし、既存シーリング材と新しいシーリング材は馴染むことがないため、年月が経過すると、徐々にシーリング材が剥がれてきます。そのために耐用年数は打ち替え工事よりも短くなっています。
施工の流れ
シーリング防水工事は、以下のような流れで施工します。
①除去作業(打ち替え工事の場合のみ)
既存のシーリング材をすべて取り除いていきます。
②清掃作業
既存シーリング材が埋め込まれていたところを掃除します。
③バックアップ材あるいはボンドブレーカーの取り付け
シーリング材が建物のゆがみや動きなどに対応するよう、新しいシーリング材を充填する前に充填する目地の深さを調節し、シーリング材が自由に動けなくなる三面接着を防ぐバックアップ材を取り付けていきます。
部材間の継ぎ目の目地が浅くバックアップ材が入れられないときにはボンドブレーカーを取り付けます。
④マスキングテープを貼付して養生
シーリングに使う薬剤が余計なところに付着しないよう、マスキングテープを貼付して外壁を保護します。
⑤プライマーを塗布
その次に、シーリングを行うところにホコリやサビがなく乾燥していることを確認したら、下地材とシーリング材の密着性を良くするために下塗り用塗料のプライマーを塗布します。
⑥シーリング材を充填
コーキングガンという器具で目地にシーリング材を充填します。
職人の技能や判断によって仕上がりが左右される重要な工程です。
⑦シーリング材をヘラでならしていく
充填したシーリング材はヘラで押さえてならしながら圧着していきます。
こうすることでシーリング材の密着性が高まりますし、余分なシーリング材を除去して表面を整えられます。
⑧シーリング防水工事の完了
シーリング材が乾ききる前にマスキングテープを剥がしたら、シーリング防水工事は完了です。
シーリング材の種類
シーリング材は2つのタイプに分かれており、さらに成分によって15の種類に分けられます。
それぞれ特徴が異なりますので、用途に合わせて選びましょう。
1成分形と2成分形
シーリング材の1つめのタイプである1成分形には、空気中に含まれる湿気と反応して硬化していく湿気硬化型と、空気中で乾燥して硬化していく乾燥硬化型が存在します。
もう1つのタイプである2成分形は、空気中の湿気や酸素と硬化剤を混ぜ合わせて反応し硬化していく反応硬化型となっています。
この2成分形は、1成分形に加えて基剤と硬化剤を混合することで初めて反応し硬化するものになっています。
ウレタン
耐久性が非常に高いという特徴を持つウレタン系シーリング材は、硬化すると弾力性が出てきて密着性も高いことから外壁のひび割れや目地の補修に使用されることが多くなっています。
ただ、ホコリが吸着しやすく紫外線には弱いため、外壁の防水工事に用いるときには上から塗装することでの保護が必要になってきます。
シリコン
耐候性や耐熱性、耐水性に優れているのが、シリコン系シーリング材です。シリコンコークと呼ばれることもあります。
ただ、シーリング材を充填後にシリコンオイルが出てくるため周辺が汚れやすく、上からの塗装はできません。
専用プライマーを使用すれば塗装ができるケースもありますが、外壁ではなく、内装に使用されることが多いシーリング材です。
アクリル
水性タイプで作業性に優れているのがアクリル系シーリング材です。費用面では安く済ませることができますが、シーリング材が硬化した後に肉やせが発生することもあり、耐久性や耐候性は低くなっています。
新築時に使用されることもあるシーリング材ですが、リフォーム時はメンテナンス性を考慮するとおすすめできません。
変成シリコン
ウレタン樹脂を原料としているのが変成シリコン系シーリング材です。塗装性や耐候性に優れているので様々な用途に使用されています。
ウレタン系シーリング材よりも密着性では劣っており、シリコン系シーリング材よりも耐久性では低いのですが、硬化した後に上から塗装することも可能なので外壁にも使用されています。
ガラス材以外の材料への接着性に優れているほか、金属やモルタルとも相性良いのが特徴です。
シーリング防水工事で注意すべきことは?
シーリング工事は天候や気温によってクオリティが左右されます。雨天時や低温の日はシーリング防水工事に適しておらず、気温15度程度~25度程度・湿度80%未満・曇天・無風状態が最適だとされています。
このような条件に大きく外れた日でも無理に工事を行ってしまうと、シーリング材の性能が低下し耐用年数の低下につながることもあります。
無理に工事を進めて後悔することがないように、雨天時や荒天時などは作業中止にすることを事前に話し合っておくことが大事です。
業者の経験や技術力も重要なチェックポイントとなります。シーリング防水工事というものは、施工箇所の条件に合わせて適したシーリング材や器具を選びながら、きめ細かい作業が必要となります。
そのため、依頼を考えている工事業者はシーリング防水工事のプロかどうか、資格者証を確認するなどの必要もあります。
株式会社リンクには、職人歴20年以上の経験を持つ熟練者と、国家資格である一級建築士・一級建築施工管理技士を持つスタッフといったプロ人材が多数在籍し、丁寧で長持ちする防水工事を行っています。
現地調査からお見積もりまで、すべて無料で対応いたします。
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