FRP防水とは?潜水艇にも使用される最強の防水性!

2021年09月02日

目次

FRP防水とは?

FRPとは、Fiber Reinforced Plastics(繊維強化プラスチック)の略で、ガラス繊維を混ぜた白い繊維のようなプラスチック樹脂のことです。

このFRP樹脂を使って行う防水が「FRP防水」で、コンクリートや木の床の上にFRPシートを敷き、その上から樹脂を塗り、さらに紫外線保護のためのトップコートを塗って完成させます。これによって、プラスチックのような硬い床ができ上がります。

FRP防水は、マンションのベランダや、戸建て住宅のバルコニー、ビルの屋上など、さまざまな場所で使われています。

FRP防水のメリット

貯水槽や潜水艇にも利用される高い防水性と耐久性!

FRP防水は、見た目はただのプラスチックに見えるので、「大して防水効果がないのでは?」と思っている人もいるかもしれませんが、実はまったく違います。FRP防水は、潜水艇や貯水槽にも使われるほど丈夫で、防水性に優れているのです。

潜水艦といえば、ほんの少しでも艦内に水が浸入したら、命にかかわる大問題になります。そのような重要な艦船に使われているということで、FRP防水がどれだけ防水性が高いかが、わかるでしょう。

耐久性の高さについては、駐車場にFRP防水が使われていることで、推測できるかと思います。屋上駐車場のある大型ショッピングセンターのほとんどは、FRP防水を採用しており、自動車の走行にも耐えられる力があることがわかります。

さらに、FRP防水は屋上緑化にも使われており、グイグイ伸びようとする植物の根をさえぎる力も備えています。

また、FRP防水は地球上だけでなく、宇宙でも活躍しています。人工衛星に使われるなど、地上、深海、宇宙を問わず、あらゆる場所で活躍しているのが、FRP防水なのです。

プラスチック素材なので軽量!

FRP防水は素材がプラスチックなので、軽いというメリットがあります。どのぐらい軽いかというと、一般的なベランダの軽歩行仕上げで1㎡あたり3kg未満、ガルバリウム鋼板屋根材で1㎡あたり約4kgという軽さです。

そのため、場所を選ばずどこにでも設置することができるのは、非常に嬉しい点でしょう。

乾きが早いので工期が短い!

FRP防水は乾くのが非常に早いため、防水工事を始めてから床面が硬化するまでの工事期間が、わずか1~2日で済みます。トップコートを何層か塗り重ねても、その程度の工期で済ませることができます。

それに対してウレタン塗膜防水の場合は、一層ごとに時間をかけて乾燥させるので、早くても4~5日の工期が必要になります。

工期が長くなると、それなりにストレスも溜まるので、短期間で工事を終わらせられるのは、FRP防水の大きなメリットのひとつです。

FRP防水のデメリット

他の防水工事よりも費用が高め

このように、さまざまなメリットをもつFRP防水にも、デメリットはあります。まず、他のウレタン塗膜防水やシート防水といった防水工事に比べて、費用が高いことです。

たとえば、ウレタン塗膜防水通気緩衝工法の工事費用の相場は、1㎡あたり4,000円~5,500円。ゴムシート防水は1㎡あたり4,000円~5,000円ほどですが、FRP防水は1㎡あたり5,000円~8,000円ほどかかります。

そのため、他の防水工法と比べて、1㎡あたり1,000円~3,000円ほどの違いが生じると考えた方がいいでしょう。

FRP防水の費用について、詳しくはこちらをご参照ください。

紫外線に弱い

FRP防水は材質がプラスチックなので、紫外線に弱いというデメリットもあります。そのため、FRP防水工事を行う際には、紫外線保護のためのトップコートを塗る必要があります。

トップコートは5年~7年に一回程度は塗り替えて、劣化しないようにメンテナンスを行いましょう。メンテナンスをしっかりと行っておけば、FRP樹脂自体は25年程度もちます。寿命を迎えた後も、床面の状態が良ければ、またその上にFRP防水工事を施すことができます。

伸縮性が低い

FRP防水は伸縮性が低いので、建物の動きに応じて伸び縮みしにくく、ひび割れが発生しやすいという点もあります。

ショッピングセンターのような鉄筋の建物であれば、建物の動きが少ないので屋上駐車場などでも問題ないのですが、それ以外の建物は面積の少ない場所に施工するのが適切です。

FRP防水が向いている場所、向いていない場所は?

FRP防水が最も向いている場所は、床面にコンクリートなどの素材が使われた、小面積の敷地です。マンションのベランダなどは、FRP防水に向いています。

木造住宅の場合も、面積が小さい場所であれば問題ありません。FRP防水は軽くて防水性に優れているので、むしろ一軒家のバルコニーには向いているといえるでしょう。最近の新築住宅などは、バルコニーにFRP防水を施しているケースも数多くあります。

ただし、同じ木造でも面積の大きい場所は、FRP防水には向いていません。建物の形状変化に、防水層が付いていけず、ひび割れを起こしてしまうことがあるからです。

FRP防水の施工手順

FRP防水工事を行う際は、次のような手順で行います。

プライマーと呼ばれる下塗り用の塗料を塗ります。これを塗ることによって、FRP防水塗料と床の密着度が高まります。

その上にFRP防水用ポリエステル樹脂と硬化剤を混ぜたものを塗ります。

が固まったら再度ポリエステル樹脂を塗り、その上にFRP防水用ガラスマットを貼って、さらにポリエステル樹脂を塗ります。こうして二層に樹脂を塗り重ねることで、防水性が高まります。

ポリエステル樹脂が固まってから、研磨機でFRPの表面を削って調整します。

清掃をした上で、アセトンと呼ばれる油脂を溶かす溶液を使い、表面の油膜成分を取り除きます。

その上に、紫外線防止のためのトップコートを塗り、乾いたら工事完了です。

FRP防水の経年劣化とメンテナンス

薄いひび割れ

FRP防水はとても耐久性が高いので、表面に薄いひび割れが見える場合は、防水層の上に塗布したトップコートのひび割れである可能性が高いです。

この場合はすぐに補修しなくても問題ありませんが、放っておくと割れやひびがひどくなって、トップコートの下にあるFRP防水層が劣化し、雨漏りになる可能性があります。トップコートの交換時期が5年~7年であることを踏まえて、できるだけ早い時期にトップコートを塗り替えましょう。

防水層の浮きやはがれ

FRP防水層に浮きやはがれが見られる場合は、防水層と下地との密着力が不足しているか、雨漏りによる水分の蒸発が原因と考えられます。

小さな面積の浮きやはがれには、部分的にケレンがけを行った後、FRP防水を再施工するのがベストです。広い面積の浮きやはがれに関しては、下地の補修・補強を行った後にFRP防水工事を行います。

雨漏り

FRP防水層が劣化し、雨漏りを引き起こした場合には、まず防水層の下地の部分まで確認し、腐食がどこまで進んでいるかをチェックします。

下地まで腐食が進んでしまっている場合は、脆弱部分を撤去して、下地の工事からやり直すなどの作業が必要となります。下地まで腐食が進んでいなくても、水分を含んでしまっている場合は、ウレタン塗膜防水による通気緩衝工法(絶縁工法)などの工事を行います。

防水工事は株式会社リンクにご相談ください

今回は「FRP防水」について、ご紹介しました。FRP防水は、いま住宅やマンション、ビルなど、さまざまな建物に使われています。

耐水性・耐久性に優れた防水工法ですが、他の工法に比べて若干料金が高いことや、トップコートの定期的なメンテナンスが必要なことなどを踏まえて、慎重に判断する必要があるでしょう。防水工事は、経験豊かな株式会社リンクに、お気軽にご相談ください。

関連記事

記事一覧